5月になって、新しい社員も少しずつ会社に慣れはじめたころかと思います。ところで、新入社員を含め、従業員と雇用契約書は作成しましたか? ようやく仕事にも慣れてくるようになると「休日はもっとあると思っていた」とか「残業はないと思っていた」とか、いろんな不満がでてくるようです。
ところでどのような書面であれ事業主は従業員に対し、「労働条件の明示」をしなくてはなりません。例えば、始業時刻・終業時刻、残業の有無、休日や休憩時間のこと、賃金の計算方法についてなどです。絶対に書面で明示しなくてはいけないものが法律で列挙されています。
絶対に書面で明示しなくてはいけない事項
①労働契約の期間
②就業場所
③従事する業務
④始業時刻・終業時刻
⑤所定労働時間を超える労働の有無(残業があるかないか)
⑥休憩時間、休日、休暇に関する事項
⑦交代制勤務に関する事項
⑧賃金の決定、計算、支払いの方法に関する事項
⑨賃金の締め切り、支払日に関する事項
⑩退職に関する事項
⑪有期労働契約を更新する場合の基準
労働基準法では、これらの内容を、「労働条件通知書」や「雇用通知書」といった書面で示さなくてはならないことになっています。ちょっと面倒だと思うかもしれませんが、この書類があれば、「こういう約束したよ」ということができます。ところが、この「労働条件通知書」や「雇用通知書」、実は欠点があります。それは事業主の一方的な通知であるため「そんな書類知らない」、「聞いてない」となり、トラブルに発展する可能性があることです。実際、その書類の存在や書かれていた内容を従業員が忘れるケースもあるでしょうし、事業主が忘れてしまうケースもあるかもしれません。対応策としては「労働条件通知書」や「雇用通知書」といった会社側からの一方的な通知ではなく、「雇用契約書」を作成することです。「雇用契約書」は事業主、従業員の双方が同意し、署名捺印するため「知らない」「聞いてない」ということにはなりませんし、当初の約束を思い出してもらい、納得してもらう資料にもなります。従業員との信頼関係を築くためにも、雇用に関するトラブルを防止する保険の一つと思って雇用契約書をつくることをおススメします。